けれど、彩羽はその視線を遮るようにクルリと背を向け、一度も振り返ることなく部室を後にした。
雨の降りしきる渡り廊下を歩きながら、彩羽は自分の胸に手を当てた。
(先輩の写真は、やっぱり大好きだ。…でも、それ以上踏み込んじゃダメ。)
律には大切な彼女がいて、自分はただの1年生。
どれだけ彼の写真に救われても、彼の作る世界に惹かれても、一歩引いた境界線の外側から見つめるだけでいい。
そう自分に言い聞かせるたび、胸の奥がちくちくと小さく痛んだ。
一方、姫華に腕を強く抱きかかえられながら校門を歩く律の頭の中は、パニックを起こしていた。
(なんなんだよ、あいつ…。)


