「……そうだけど。なんで?」
「私、あの写真を見て、写真部に入ろうって決めたんです。」
彩羽はファインダーから目を離し、律の目をまっすぐに見つめた。
その瞳には、嘘も、お世辞も、計算も何ひとつ存在しない。
ただ純粋で、澄み切った光だけが宿っていた。
「誰も気に留めないような小さなガラスの世界が、暗闇の中でキラキラ輝いていて…綺麗で、どこか切なくて。黒羽先輩は、世界をこんなに優しく見つめている人なんだって、すごく感動したんです。私、あの写真が本当に……大好きです。」
いつも女子たちから投げかけられる
「かっこいい」
「好き」
「付き合って」
そんな消費されるための言葉とは、まるで違う。


