monochrome 〜君の切り取る世界に、恋をした〜


​3月下旬。

実家から、律の暮らすアパートへの引っ越し当日。

遠距離恋愛が終わり、同棲をスタートさせる。

​ピカピカに磨かれた愛車のトランクや後部座席いっぱいに段ボールや機材を詰め込み、二人は長年慣れ親しんだ地元の街並みに別れを告げて、まっすぐ伸びる高速道路へと車を走らせた。

​ハンドルを握る律の洗練された横顔を見つめながら、彩羽は左手薬指でキラリと輝く指輪をそっと愛おしそうに撫でた。


​「律くん、安全運転でお願いね。」

​「……う、まだ''律くん''って呼ばれるの慣れなくて照れる……。赤信号で良かった…。」


​信号待ちで車が止まるたび、照れ隠しのように彩羽の手をギュッと愛おしそうに握り返してくる律。


​「これからは、金曜日に片道2時間かけて『逢いに行く』んじゃなくて、毎日『一緒に帰る』んだね。」

​「うん。……毎日『いってらっしゃい』と『おかえり』を言い合える。朝起きた瞬間も、夜眠る瞬間も、ずっと一緒。」


​遠く離れていた片道二時間の距離を埋め続けた切なくも愛おしい日々が終わり、これからは同じ屋根の下で、同じ時間を重ねていく。

助手席の窓から見える春の景色のすべてが、二人を祝福するように輝いていた。