monochrome 〜君の切り取る世界に、恋をした〜


​翌日。

静かで厳かな卒業式が無事に執り行われ、胸に可憐なコサージュをつけた彩羽が思い出の詰まった校門を出ると、そこには大きな百合とピンクの薔薇が美しく束ねられた花束を抱えた律が待っていた。


​「彩羽ちゃん、卒業おめでとう!」

​「律さん……! ありがとうございます……っ」


​二人は放課後の静まり返った校舎へと静かに足を踏み入れ、二人が初めて出会い、たくさんの秘密と甘い時間を重ねてきた思い出の写真部の暗室へと向かった。

​パチッと小さな音を立ててセーフランプが灯り、仄暗く幻想的な赤い光が室内を満たす。

かつてモノクロで空虚だった彩羽の世界に、初めて鮮やかな色彩と光が差し込んだ、二人にとって世界で一番特別な場所。

​律は手に持っていた花束を作業台の上に置くと、コートのポケットから小さな紺色のベルベットのケースを取り出した。