その夜。
しんしんと降り積もる静かな温泉宿の一室で、二人は暖かな部屋の窓辺に並び、外の雪景色を眺めていた。
ほんのりと香る温泉の湯気と、暖房の心地よい温もり。
柔らかい浴衣姿の彩羽の背中に、律がそっと寄り添うように後ろから腕を回し、首筋に優しく顎を乗せた。
「1年前の冬はさ……『卒業したら離れてしまうんじゃないか』って、不安で押し潰されそうだったんだ。」
律の低い声が、耳元で愛おしく響く。
「でも、彩羽ちゃんが俺を追ってここまで来てくれた。俺のモノクロだった世界に色をくれたのは彩羽ちゃんなのに、未来までこんなに綺麗にしてくれるなんて思わなかったよ。」


