12月下旬。
受験の重圧から完全に解放された彩羽は、高校生活最後となる晴れやかな冬休みを迎えていた。
律の提案で、これまでの頑張りを労う一泊二日のお祝いドライブ旅行へ出かけることになった。
ピカピカに磨かれた白いコンパクトカーの助手席に乗り込み、暖房の効いた車内で流れるお気に入りの音楽に耳を傾ける。
「助手席の彩羽ちゃんを見るの、俺の人生で一番好きな時間なんだよね。隣で笑ってくれてるだけで、どこまででも走れそう。」
ハンドルを握りながら心底嬉しそうに微笑む律の綺麗な横顔を、彩羽は愛おしそうに見つめ返した。
車が徐々に標高の高い山あいの温泉街へと差し掛かると、窓の外には息をのむほど美しい銀世界が広がっていた。
車を停めた二人は、温かいコートを羽織り、首から愛用のカメラを下げて、ふかふかと雪の積もる情緒ある街並みへと踏み出した。
「彩羽ちゃん、ちょっとこっち向いて。」
ファインダーを覗いた律が、愛おしそうにシャッターを切る。
「あ、ズルいです! 私も撮ります!」
レンズを向け返す彩羽。
舞い落ちる白い粉雪の中、お互いを写し合いながら声を上げて笑い合う時間は、まるで映画のワンシーンのように鮮やかで、どこまでも温かかった。


