姫華に促され、律がギャラリーの中央へと足を踏み入れる。
そして、大きな額縁の前に立つ制服姿の後ろ姿を見つけた瞬間、律の足がピタリと止まった。
「…え……? 彩羽…ちゃん……?」
信じられないものを見るように目を見開く律。
彩羽はゆっくりと振り返り、驚きで固まる律に向かって、飛びっきりの笑顔を咲かせた。
「律さん。……驚いてくれましたか?」
「な、なんで…なんで彩羽ちゃんがここに…!?」
パニックになる律の視線が、作品の横に添えられたキャプションへと向かう。
全国金賞・白石彩羽/ Title:Monochrome to Color
そこに展示されていたのは、あの夏の日、夕暮れの海で撮影された自分自身の姿と、愛おしそうに重なる二人の影だった。
「全国コンテストに入賞したら、表彰式がこの美術館だったんです。律さんを驚かせたくて……ずっと秘密にしていて、すみません。」
すべてを理解した律の瞳から、一筋の涙が頬を伝った。


