7月上旬、真夏の眩しい日差しが写真部室の窓を照らす頃、彩羽の元に一通の大きな封筒が届いた。
『全国高校写真コンテスト・応募要項』
部員の作品を取りまとめるため要項を開いた彩羽は、そこに書かれた開催概要の文字に目を奪われた。
『───最優秀賞をはじめとする上位入賞作品は、10月上旬、隣県美術館にて開催される全国展示会にて飾られ、同会場にて表彰式を執り行います』
隣県美術館────
そこは、律が通う芸術大学から目と鼻の先にある場所だった。
(入賞すれば……律さんのいる街で、私の写真を見てもらえる。それに、表彰式に行けば…律さんに驚いてもらえるかな。)
胸がドクンと高鳴る。
4月、律が内緒で自動車学校に通い、校門前に車で迎えに来てくれたあの日の感動が蘇った。
今度は自分が、律をあっと驚かせる最高のサプライズを届けたい。
(律さんには……絶対に秘密にしておこう。)
毎晩のようにかかってくる電話でも、週末のデートでも、コンテストの話題は一切口に出さなかった。
律に勘付かれないよう平然を装いながら、彩羽は放課後の部室で一人、自分の限界に挑む作品作りをスタートさせたのだった。


