6月中旬。
しとしとと降り続く梅雨の雨が街を濡らす日、彩羽は18歳の誕生日を迎えた。
けれど、律からは前日の夜に、申し訳なさそうな掠れた声で電話がかかってきていた。
『彩羽ちゃん、本当にごめん…! 大学の集中講義とポートフォリオ課題の提出が重なっちゃって、どうしても明日そっちに行けなくなっちゃった…。』
『ううん、気にしないで! 律さんの夢のための大切な大学なんだから、課題を一番にして? 気持ちだけで十分だから!』
電話では強がって明るく振る舞ったものの、当日の放課後、雨の音だけが虚しく響く静かな部室で一人現像作業をしていると、ふとした瞬間に目元がじんわりと熱くなった。
(分かってる…わかってるけど、やっぱり今日、律さんに会いたかったな……。)
ぽつりと漏れた小さな溜息。


