5月に入ると、律のSNSやメッセージで送られてくる写真の景色が少しずつ変わっていった。
洗練された都会の都会的な街並み、美大の広大なスタジオや最新の撮影機材、そして周囲を取り巻く個性的でおしゃれな学生たちの姿。
律自身は変わらず彩羽一筋で、毎晩のように
「今日も彩羽ちゃんに会いたい」
「声が聴きたくて倒れそう」
と甘い声で電話をかけてくる。
けれど、彩羽の胸の奥には、小さな芽のように不調和な感情が生まれ始めていた。
(律さんは、私が追いつけない遠い場所へ行っちゃう……。)
律は都会という刺激的な環境で、新しい技術や鋭い視点をどんどん吸収し、大人になっていく。
けれど自分はまだ小さな地元の高校にいて、制服を着て、変わらない日常の中に留まっている。
置いていかれているような、今の自分では身の丈に合わない遠い世界へ律が行ってしまったような、かすかな引け目と焦燥感。


