「言ったでしょ? 距離なんて関係なくなるって。いつでも彩羽ちゃんを迎えに来るための、俺の準備。」
「律さん……っ!」
彩羽の目から、溢れ出す涙が止まらなかった。
遠くへ行ってしまう不安、会えなくなる寂しさ――それらをすべて見越して、自分のために陰で努力してくれていた彼の圧倒的な愛。
彩羽は差し出された手をギュッと握り返し、助手席へと乗り込んだ。
エンジンが静かに鳴り響き、車は春風が吹き抜ける海岸沿いの道を走り出す。
助手席から見る律の横顔は、真剣で、頼もしくて、世界で一番かっこよかった。
「律さん…大好きです。私を、どこへでも連れて行ってください。」
「もちろん。俺のファインダーも、俺の未来も、全部彩羽ちゃんでいっぱいだから。」
赤信号で車が止まった瞬間、律が引き寄せるように重ねてきた優しく甘いキス。
モノクロだった世界から始まり、擦れ違い、寄り添い合ってきたふたりの恋。
ファインダーの向こうに広がる未来は、もう二度と色あせることのない、鮮やかで愛おしい色彩に満ちあふれていた。


