3月下旬。
彩羽の2年生修了式が終わり、明日から春休みに入る日。
律たちが卒業し、すっかり静かになった校舎を後にした彩羽は、一人で校門を出た。
(明日から春休み…。律さんに会いたいな…。)
切ない思いで足を止めたその時、プッと軽やかなクラクションの音が響いた。
校門の脇に停まっていたのは、ピカピカに磨かれた一台の白いコンパクトカー。
その運転席の窓がスッと下がり、サングラスを少しずらした律が、爽やかな笑みを浮かべてこちらを見ていた。
「お疲れ、彩羽ちゃん。乗ってく?」
「え……ええええっ!?」
彩羽は目を丸くして固まった。
「り、律さん……!? 車……!? 免許……!?」
「ふふ、驚いた? 4月から遠距離になっても、俺がすぐ彩羽ちゃんに会いに行けるように、内緒で教習所通ってたんだよ。あの誕生日のサプライズのお返し。」
律は車から降りて助手席のドアを開けると、王子様のように手を差し伸べた。


