monochrome 〜君の切り取る世界に、恋をした〜


​夕方。

校庭で後夜祭が始まり、有志バンドの重低音と生徒たちの歓声が、校舎の窓ガラスをビリビリと震わせ始めていた。

​喧騒から離れた旧校舎の写真部の部室。

そのさらに奥にある暗室のドアが、静かに閉められた。

​ガチャリ。

​カチッとスイッチが入れられ、部屋全体が暗い赤色のセーフランプの光で満たされる。

暗室の中には、本日撮影された何千枚もの記録データをパソコンに移し、バックアップと現像作業を行う律と彩羽の二人だけだった。


​「これで、本日の全データの取り込み完了です……。」


​彩羽がキーボードから手を離し、小さく息を吐いた。

暗室の独特な薬品の匂いと、赤い光。

外から届く後夜祭の重低音が、まるで遠い世界の出来事のように感じられる。


​「彩羽ちゃん、お疲れ様。……ちょっとデータ、確認させて。」


​律が隣の椅子を引き、彩羽のすぐ隣に腰掛けた。肩と肩が触れ合いそうなほど近い距離。

律がマウスを操作し、今日撮影された写真のサムネイル一覧をスクロールしていく。