午後、校内の巡回撮影に出た彩羽は、混雑する中央廊下で律とすれ違った。
大勢の生徒が行き交う喧騒の中。
二人は足を止めることなく、自然な動作で互いにカメラを構えた。
カシャッ。
すれ違いざま、レンズ越しに交錯する視線。
ファインダーの向こうで、律が彩羽だけに分かる微かな微笑みを浮かべる。
彩羽もまた、自分のカメラのファインダー越しに、真剣な眼差しで記録撮影に奔走する律の姿をフィルムに焼き付けた。
言葉は交わさなくても、ファインダーを通せばお互いの熱量が痛いほど伝わってくる。
二人だけの世界が、カメラというレンズを介して確かに繋がり合っていた。


