monochrome 〜君の切り取る世界に、恋をした〜


​10月12日。

秋晴れの空のもと、文化祭『彩華祭』の本番が始まった。


​写真部の展示室は、生徒たちの渾身の作品が並ぶギャラリーであると同時に、校内全域のイベントを撮影して回る「記録係」の司令塔でもあった。


​「やっぱり黒羽先輩の写真、凄すぎる……!」

「ねえ、黒羽先輩! 後で一緒に写真撮ってくれませんか!?」


​展示室の中央、律の作品であるモノクロの風景写真の前には、他校の女子生徒や下級生たちが人垣を作っていた。

校内一の有名人であり、いまや
「一途で硬派な部長」
として噂される律の周りには、相変わらず絶え間なく人が集まっていた。

​彩羽は記録用データの整理をしながら、遠目からその光景を静かに見つめていた。


​「ごめんね、今日は写真部の記録係の仕事があるから。…それに、俺、もう心に決めた人がいるんだ。」


​律は寄ってくる女子生徒たちからの写真を撮ろうという誘いを、穏やかな笑顔で、けれど一切の隙を与えない毅然とした態度で断っていた。

その瞳には、かつて女子たちを浮つかせていた遊び人の面影はどこにもなかった。