けれど、夕暮れ時。
オレンジ色の鮮やかな夕陽が水平線の彼方に沈みかける頃、海岸沿いのベンチに並んで座った彩羽の足元で、小さな影が切なく揺れていた。
「……楽しかった?」
律が優しく耳元で声をかけると、彩羽は俯いたまま、小さくこくんと頷いた。
「……うん。すごく、すごく楽しかった。」
「そっか。……なら、よかった。」
律はホッとしたように微笑んだが、すぐに彩羽の膝の上で小さく震える指先に気づいた。
冷え切った手を温めるように、律の大きな手が上からそっと重なる。
「……彩羽ちゃん?」
「ねえ、律さん。」


