9月末。
肌寒い秋風が校庭の落ち葉をカラカラと揺らす頃。
「彩羽ちゃん、ちょっとこっち向いて。」
久しぶりに部室に顔を出した律が、夕陽の差し込む窓辺で不意にカメラを向けた。
カシャリ、
と心地よいシャッター音が静かな部室に響く。
液晶画面を確認した律は、満足そうにふっと口元を緩めた。
「……また勝手に撮って。」
「だってみんなの指導と文化祭の準備で疲れてる彩羽ちゃん、すごく真剣で、頑張り屋で……たまらなく愛おしいんだもん。」
そう言って、律は彩羽の隣のパイプ椅子を引き寄せて腰掛け、当然のような自然な流れで彩羽の肩を引き寄せた。
律から漂う大好きなハーブティーの香りと、少し冷えた彼の体温が、彩羽の緊張した心をゆっくりと解きほぐしていく。


