体育祭の熱気も去り、校庭の木々が少しずつ色づき始める9月下旬。
10月上旬に迫った文化祭の展示準備と秋の作品展に向け、写真部の空気は夏までのどこか浮き足立った雰囲気から一変し、どこか張り詰めた静けさに包まれていた。
「すまん、白石。今日も大学の推薦課題とデッサンがあって、すぐにアトリエに向かわなきゃいけないんだ。」
放課後の夕陽が差し込む部室。
荷物を慌ただしくカバンに押し込んだ律が、申し訳なさそうに頭を掻く。
文化祭を間近に控えつつも、3年生には本格的な受験シーズンが訪れていた。
律の美術大学受験に向けたポートフォリオ制作や、一般受験を控えた部員たちの補習が重なったことで、3年生が部室に顔を出す機会はめっきり減っていた。
「ううん、受験勉強が一番大切だから…。黒羽先輩、頑張ってください。」
「……ん。ありがとう。白石も、あんまり無理すんなよ。」
名残惜しそうに彩羽の柔らかい髪をひと撫でし、指先を名残惜しそうにはなして、律は足早に部室を去っていく。


