律の瞳からポロポロと溢れ出そうなほどの悔しさと自責の念。
遊び人として余裕を見せていたかつての姿はどこにもない。
そこにあるのは、一人の少女の怪我に心を痛め、本気で泣きそうな顔をする不器用な男の素顔だった。
その時、グランドから
「学年対抗選抜リレー、最終招集です!」
というアナウンスが響いた。
「先輩! 行ってください!」
彩羽は律の手を強く握り返した。
「私、ここでちゃんと見てます。先輩が…一番速く走るところ、見せてください!」
律は一瞬目を見開き、やがて力強く頷いた。
「……おう。行ってくる。」
律は救護室を飛び出し、グラウンドへと駆け戻っていった。


