静まり返った救護室。
遠くからグランドの歓声が地鳴りのように届いていた。
「…うん、骨には異常なさそうだね。酷い捻挫だから、しっかり冷やして安静にしておくように。」
養護教諭の手当てを受け、右足首に氷嚢を当てられた彩羽は、ベッドの端に腰掛けていた。
その目の前には、荒い息を吐きながら、冷や汗を流す律が突っ立っていた。
「……黒羽先輩。本当に、すみませんでした。私のせいで、先輩のリレーが…。」
彩羽が申し訳なさで押し潰されそうになりながら頭を下げると、律は静かに歩み寄り、彩羽の前に片膝をついた。
視線が同じ高さになる。
律は冷たくなった彩羽の指先を、両手でそっと包み込んだ。
律の手は、驚くほど温かく、そして微かに震えていた。
「謝るなよ……。俺が、もっと近くで見ててやれなかったのが悪いんだ。……痛かったろ。」
「先輩…。」
「怪我させたのも、怖がらせたのも……全部、俺のせいだ。」


