「白石! 大丈夫か!? どこ痛めた!?」
「く、黒羽先輩…!? 私、大丈夫です…。それより、先輩はリレーの招集が────」
「喋るな!」
律は彩羽の言葉を強い声で遮ると、迷わず彩羽の背中と膝裏に腕を通した。
「え……っ!?」
浮遊感。
大勢の生徒や保護者が息をのむ視線の中、律は彩羽を優しく、けれど絶対に落とさない強さでお姫様抱っこをされていた。
「先輩、駄目です! みんな見てます……それに、リレーが……!」
「黙って俺に捕まってろ! 写真も、リレーも、お前より大事なものなんてあるわけないだろ!」
律の胸板から、早鐘のように打つ激しい鼓動が直に伝わってくる。
律は彩羽のカメラのストラップを己の首にかけ直すと、一目散にグラウンドを抜け出し、校舎の奥にある救護室へと走り出した。


