雲ひとつない快晴のもと、ついに体育祭本番の火蓋が切って落とされた。
メガホンの歓声、太鼓の重低音、運動場を揺らす足音。
熱狂の渦の中で、彩羽は記録係の腕章を誇らしく掲げ、一眼レフを手にグランドを縦横無尽に駆け回っていた。
午後の競技が始まり、いよいよ最大の盛り上がりを見せる''学年対抗選抜リレー''の時間が迫る。
彩羽はゴール付近のトラック脇に位置取りをし、カメラの露出とシャッタースピードを細かく調整していた。
その時、隣のエリアで行われていた綱引き競技の退場ルートから、大勢の生徒たちが雪崩のように流れ込んできた。
「きゃっ……!?」
撮影に集中していた彩羽は、押し寄せる生徒の波を避けるのが一歩遅れた。
足を滑らせ、トラック脇の木製フェンスの段差に足首を強く捻ってしまう。


