夏休みが終わった9月。
少しだけ和らいだ日差しがグランドの土を白く照らし出し、校舎全体が体育祭に向けた独特の熱気と焦燥感に包まれていた。
「はい、写真部! 記録係は全クラスの練習風景、漏れなく押さえておいてくれよ!」
工藤先生の大声が響く中、彩羽は
「写真部 記録係」
と印字された黄色い腕章を左腕に巻き直し、首から下げた一眼レフのストラップを固く握りしめた。
各ブロックの応援合戦、ダンスのステップ、リレーのバトンパス────。
グランドのあちこちで同時に巻き起こる歓声と土煙の中を、彩羽はファインダーを覗きながら走り回っていた。
シャッターを滑らせていた彩羽の指が、ふと止まる。
トラックの中央。
白線を踏みしめ、スタートダッシュの構えをとる群衆の中で、ひときわ高い頭身と洗練された存在感を放つ影があった。


