過去の傷も全部、君の熱で上書きして。

手元に抱えていた書類を落としそうになり、指先に力を込める。

見間違えるはずもない。

大学時代、同じサークルに所属していた三つ下の後輩

────瀬戸廉だった。​

結衣が4年生で、彼が1年生の時。

短い期間だったけれど、人懐っこく笑いかけてくる彼を、結衣は「可愛い後輩」として可愛がっていた。

だが、結衣の卒業と同時に疎遠になり、最後に会ったのは丸3年前の春だ。​


少し背が伸びただろうか。

肩幅もがっしりと大きくなり、少年っぽさが抜け落ちてすっかり大人の男性の雰囲気を纏っている。​


「藤崎、瀬戸は君と同じ大学の出身だそうだ。共通の話題もあったほうが馴染みやすいだろ? 頼んだぞ。」

「えっ、あ……はい! わかりました。」


​慌てて返事をし、立ち上がる。

廉はまっすぐ結衣の方へと歩み寄ってきた。