過去の傷も全部、君の熱で上書きして。



その日の夕方、廉と別れて自宅のマンションに帰宅した結衣は、静まり返ったリビングで一人、ソファに深く身体を沈めた。​

静寂が部屋を包むと同時に、昼間の廉の笑顔や、トラブルの時に見せた男らしい横顔、車道側を歩いてくれた時の温かい体温が、波のように押し寄せてくる。​


(私・・・瀬戸くんのこと・・・・・。)​


胸の奥でドクンと大きく打つ鼓動。

認めたくなかった。

けれど、もう誤魔化しきれなかった。

自分はもう、瀬戸廉という一人の男に、抗いようもなく惹かれているのだと。​

しかし、恋心を自覚した次の瞬間、胸を刺すような鋭い痛みが結衣を襲った。