案内されたのは、結衣が
「お礼に美味しいものを奢るね」
と言った際に廉がリクエストしてきた、少し落ち着いた雰囲気のイタリアンレストランだった。
歩道では自然と車道側を歩いてくれ、店のドアをスマートに開けて結衣を先に通してくれる。
その一挙手一投足が洗練されていて、結衣は終始ドキドキさせられっぱなしだった。
「本当に美味しかった・・・。でも、お礼のつもりだったのに、廉くんにエスコートされちゃったね。」
「いいんですよ。俺が先輩と一緒にいたくて、エスコートしたくてやってることなんですから。」
食後のコーヒーを飲みながら、廉はテーブル越しに頬杖をつき、甘く愛おしそうな瞳で結衣を見つめてくる。
「トラブルの時も思いましたけど、俺、もっと結衣先輩の役に立ちたいです。仕事でも・・・・・それ以外でも。」
「それ以外って・・・・・。」
「言わせないでください。先輩が一番分かってるくせに。」
悪戯っぽく微笑む廉の視線に耐えかねて、結衣は慌ててカップに口を付けた。
胸の奥が甘く痺れ、まるで本物のデートをしているかのような錯覚に陥ってしまう。

