3年だ。
大学を卒業して俺の前から姿を消した彼女を追いかけて、同じ会社に入社するために、血の滲むような努力をした。
彼女を教育係にしてもらうために、入社前の研修から人事の評価を限界まで高め、同期の中でもダントツの成績を取った。
全部、今日という日のためだ。
朝、オフィスで
「瀬戸廉です」
と挨拶した時。
書類を抱えたまま鳩が豆鉄砲を食ったような顔で固まっていた結衣さん。
相変わらず綺麗で、昔と何も変わらない柔らかな雰囲気に、胸が締め付けられるほど愛おしさが込み上げた。
握手をした瞬間、本当はそのまま抱きしめてどこかへ連れ去りたかった。
だから、指を解くときに少しだけ力を込めた。
彼女が息をのむ気配を感じて、脳内で「よし」と小さくガッツポーズをしたけれど、内心は彼女に拒絶されないか生きた心地がしなかった。
だが、昼の食堂での
「ただの教育係だから」
という言葉。
あれを聞いた瞬間、頭の中で何かがプチッと切れる音がした。
(ただの教育係・・・・・? 俺がどんだけ待ったと思ってんだよ。)
同期の女性社員と話す結衣さんの横に座り、テーブルの下で彼女のスカートの裾を引っ張った時も、耳元で低く囁いた時も。
結衣さんの耳たぶがみるみる真っ赤になっていくのを見て、ドロッとした暗い欲望が満たされるのを感じた。

