すっと伸ばされた廉の大きな手が、結衣の冷たくなった手を包み込んだ。
恋人繋ぎではない。
けれど、決して振りほどけない強さで、包み込むように。
「・・・・だから、今度は俺が守ります。あんたを傷つけるもの全部から。」
「瀬戸、くん・・・手・・・・・。」
「会社では我慢します。でも、二人きりの時は・・・・もう後輩のフリ、やめますから。」
手の甲に、ほんの短い一瞬だけ廉の唇が触れたような気がした。
結衣が声を上げる前に、廉は指をほどき、
「じゃ、俺こっちなんで。明日もよろしくお願いします、結衣先輩。」
と爽やかに手を振って地下鉄の階段を下りていく。
一人夜道に取り残された結衣は、冷たい夜風の中で、廉に触れられていた自分の手だけが熱く痺れているのを、ただただ実感していた。
