過去の傷も全部、君の熱で上書きして。


「・・・・・へえ、''ただの指導係''ですか。」


​背後から低く耳に心地よい声が降ってきた。

振り返ると、トレイを持った廉が立っていた。

周囲の視線に気づいた彼は、一瞬で爽やかな後輩の顔を作る。​


「藤崎先輩、莉子先輩。お隣、いいですか?」

「あ、瀬戸くん! どうぞどうぞ!」


​嬉しそうに席を譲る莉子。

廉は軽やかな動作で結衣の真横に腰を下ろした。

莉子が
「瀬戸くんって今彼女いるの?」
と早速探りを入れ始めると、廉は困ったように眉を下げてみせた。​


「いえ、今は覚えることが多くて、恋愛どころじゃないですよ。」

「えー、本当? 絶対モテるのに。」


​完璧な社交辞令で会話を流す廉。


だが、テーブルの下────