過去の傷も全部、君の熱で上書きして。

配属初日の午前中。

結衣は自分のデスクの隣に予備の椅子を引き寄せ、廉に社内システムの使い方をレクチャーしていた。


​「この画面でプロジェクトの予算を入力して、承認ボタンを押すと・・・・あ、ちょっと待って。そこ、入力形式が違うかも。」


​画面を指さしながら説明していると、廉が

「ここですか?」

と身を乗り出してきた。

途端に、彼の纏う爽やかな香水の匂いと、男の人特有の熱気がふわっと結衣の肌を撫でる。​

ふと気づけば、マウスを握る結衣の手の上に、廉の手が重なりそうなほど近くにあった。

触れてはいない。

けれど、あと数ミリで肌が接してしまう距離。