過去の傷も全部、君の熱で上書きして。

────だが。


​握手をした手が、解かれない。​


「・・・・? 瀬戸くん?」

「・・・あ、すみません。久しぶりにお会いできたのが嬉しくて、つい。」


​離そうとした結衣の手に対し、廉はほんの少しだけギュッと力を込め、それから惜しむようにゆっくりと指を滑らせて離した。​


(な、に・・・・・・・?)​


その瞬間の彼の瞳に宿った温度に、結衣はゾクッと背筋が泡立つような錯覚を覚えた。

だが結衣が動揺する間もなく、廉はすぐにいつもの爽やかな笑顔に戻り、

「よろしくお願いします!」

と丁寧に頭を下げた。​

結衣は気づいていなかった。

握手をした一瞬、廉が見せていたのが

「可愛い後輩」の顔などではなく、

三年越しの獲物を追い詰めた

「''一人の男''の目」であったことに。