——幕間 桜——
今年の桜も綺麗。
いつみても綺麗な桜は、春の絶対王者のような存在感を放っている。
新しい学校の門を潜ると、小さな花壇がある。
私はそこにしゃがみ込んで、花たちを眺めることにした。
「綺麗……」
桜より小さくて、可愛らしい花々。
名前も知らないのに、見惚れていた。
可哀想。この花たちは、名前を知られることもなく、散っていく。
だったら私は、覚えててあげたいと思った。
この小さな命が、生きた証を残してあげたいと思った。
「あれ?」
背後から声が降ってくる。
びっくりした……
何かやらかしたかと、焦る。だけど、振り向いて違ったら自意識過剰みたいで、ためらってしまう。
背後の人が去っていったので、その方をみたら何故か、引っ張られるような感覚がした。
まるで、この花壇に吸い込まれたように、その男の子に吸い寄せられた。
「あの……」
気がついたら声をかけていた。
色白で、綺麗な顔立ちの男の子。
なんだかさっき見た花みたいに思える。
手を伸ばせばすぐそこにあるのに、消えてしまいそうに儚い。
なんだか気になってしまう。
風花芙雪くん。
隣の席の男の子。
急に名前呼びを提案してきたときはびっくりしたけど、可愛らしい子だなっていう印象。
これからもっと知っていければいいな。
芙雪くんのこと。
