「見えない」君と「見たくない」私

______この顔じゃ生きていけないそう思っていた。

「なんで私ばっかり」

私は終電が迫る駅のホームに腰掛け嗚咽する。
今だけは雨が涙も嗚咽もなかったことにしてくれると思った。
その時、足音が聞こえ顔を上げる。
すらっと背の高い美形の男の子が立っていた。
またなにか言われるのではという恐怖で動悸がする。
呼吸が浅くなっていく。
誰かが私の横に腰掛けた気がした。
きっとさっきの彼だ。
人がいるから泣き止まなければ、落ち着かなければと思えば思うほど呼吸は早く、浅くなっていく。

「大丈夫?」

優しい声が頭上から降ってくる。

「見ないで」

「見えないから大丈夫」

なんのことか分からなかったが妙にその言葉に安心できて呼吸が動悸と共に落ち着いていくのがわかった。

「落ち着いた?」

「はい、なんかすみません。見苦しいとこ見せちゃって。」

「だから見えてないし、見てないから。もうすぐ終電だから気をつけて帰りなよ」

そう言って去っていく彼の後ろ姿は潤んだ目にはっきりと写し出された。