シークレット―世界は守れますが、恋の仕方はわかりません―

 数日後。

「直充、悪い」

「何ですか」

「今日ちょっと手ぇ貸してくれない?」

 講義を終えた直充が鞄を肩にかけたところで。

 軽音サークルの先輩に呼び止められた。

「何を」

「荷物運び」

「どこに」

「旧棟」

「…………」

 直充は腕時計を見る。

 このあと。

 特に予定はない。

「どれくらいかかります?」

「一時間」

「本当に?」

「……二時間」

「最初からそう言ってください」

「頼む!」

 両手を合わせられる。

 直充は小さく息を吐いた。

「分かりました」

「助かる!」

「重いですか」

「たぶん」

「たぶん?」

「俺もまだ見てない」

「…………」

 嫌な予感がした。