弁護士さん、恋愛の仕方がわかりません

ようやくわかってくれたのか、高嶺さんはほんの少しだけ俯いて万年筆をポケットにしまってくれる。

「どうしても、駄目なんですね…」
「はい、すみません」

「わかりました……一旦持ち帰ります」

絶対わかってないやつだ、これ。

でも、とりあえずのところ高嶺さんは引いてくれたようで、婚姻届をクリアファイルに挟み。
それはそれは大切そうにブリーフケースにしまった。

「時期尚早だったようです。一度持ち帰り、再度検討を重ねたいと思います」
「あの、いや…そういうんじゃなくて…」

私のつぶやきは高嶺さんの耳には入っておらず、床に置いたブリーフケースを手に取り、姿勢良く栄養ドリンクとカップ麺を持って再びレジに現れた。

「お願いします」
「あ、はい…商品、お預かりします…」

身についた習慣というのはおそろしいもので。
困惑しつつも、手は商品をスキャンしていつも通り一番小さな袋へ入れていく。

何事もなかったかのように高嶺さんはICカードで決済し、商品を受け取ってそのまま自動ドアを通った。

「ありがとうございました…」
「また、来ます」

出来ればしばらく来ないでほしい…。