弁護士さん、恋愛の仕方がわかりません

背筋を伸ばしてレジ前へやって来る。

彼はスーツの内ポケットから何かを取り出し、私のほうへ両手を使って差し出した。

名刺だ…。

普段名刺を受け取ることなんてないから、とりあえず見よう見まねで両手を使って受け取る。

「昨日はありがとうございました」
「あ、いえ!こちらこそ、お節介失礼しました」

名刺を見ると。
『ゆめいろ法律事務所 弁護士 高嶺秀一(たかねしゅういち)』と書かれてあった。

弁護士さんだったのか。
どうりでお高そうなスーツや鞄を持っているわけだ。

今日はネイビーのスーツを皺ひとつなく着こなし、赤いネクタイが綺麗に収まっている。

わざわざ苺大福のために名刺まで渡して挨拶してくれるなんて、弁護士さんは律儀なんだなぁ。

そんなことを思っていると、次は黒いブリーフケースを床に下ろして「失礼」と言って何かを探し始めた。

「ファイルが多いもので…ああ、ありました」

半透明のクリアファイルに何か薄い紙が挟まっている。

まさか、苺大福を譲渡したことに何か問題でも…?
法的に違反していることでもあったのだろうか!?

内心ヒヤヒヤしながら彼の一挙手一投足を見つめていれば、その紙を丁寧にクリアファイルから取り出し、レジカウンターに置いた。