「……葵くん。」
妻の真緒は、夫に呼び掛けた。
先にベッドで横になっていた葵は、寝室に入って来た妻の様子に、何かあったのだろうかと、心配になりベッドから起き上がった。
色違いのパジャマを着ていて、葵は紺色、真緒は白色である。
デパートに一緒に行った時、二人で選んで買った。
二十歳で学生結婚して、夫婦仲は今も良好。
葵から結婚を申し込んだ。
誰にも、取られたくなくて。自分だけのものにしたかった。
寝室のドアを閉めて、真緒はベッドに入って来た。
「……その、お願いがあって……。」
「どんなお願い?」
「私一人じゃ、叶えられない。」
真緒は意を決して口を開く。
「子供が欲しくて。葵くんとの子が。だから、今日は避妊しないで、して欲しくて……。」
恥ずかしさから、声はどんどん小さくなっていったが、葵の耳には一言一句違わず聞こえ、伝わっていた。
「俺は真緒ちゃんが一番、大切だよ。」
手を取り握った。
「体が辛くて大変だと思う。それでも、」
葵は妻を真っ直ぐ見つめる。
「俺の子を産んで、育ててくれる?」
「……うん。不安もあるけど、楽しみの方が大きいから、きっと乗り越えられる。」



