ごめん、好き。

明日の朝、愛奈を待って一緒に学校に行こう。

たとえ愛奈に拒まれたとしても。

もう、何もしないまま後悔するのは嫌だ。

俺は諦めない。

絶対に。

* * *

――翌朝。

俺は7時30分から、マンションの前で愛奈を待っていた。

7時35分。

7時40分。

そして――7時47分。

……来ない。

「先に行っちゃったのかな……」

昨日までなら、待たせていたのは俺の方だったのに。

そう思った、そのとき。

エントランスの扉が開いた。

反射的に顔を上げる。

――愛奈だ。

愛奈は俺の姿を見つけると、一瞬驚いたように立ち止まった。

「……何してるの?」

いつもより少し冷たい声。

「愛奈を待ってた」

俺は素直に答えた。

「……なんで?」

「一緒に学校行こうと思って」

「でも……距離置こうって言ったじゃん」

分かってる。

昨日、愛奈にそう言われた。

そして俺も「分かった」って答えた。

でも。

「……やっぱ無理」

「え?」

「距離置くの」

愛奈が驚いたように俺を見る。

「分かってるよ。愛奈が距離置きたいって言ったのは」

それでも。

「……俺は嫌だから」

言った瞬間、自分でも驚いた。

こんなことを言ったら、愛奈を困らせるかもしれない。

でも昨日。

日向に告白されている愛奈を見て、初めて気づいた。

他の男が愛奈の隣にいるのは嫌だ。

愛奈が他の男を好きになるなんて、もっと嫌だ。

俺は今まで、

愛奈が幸せならそれでいいと思っていた。

でも本当は違った。

――俺が、愛奈を幸せにしたい。

だから。

少しずつでもいい。

今度こそ、俺から愛奈に近づきたい。

「……学校、行こう」

俺は愛奈に手を差し出した。