この想いは、誰にも言えない ~深碧の音 つぼみ蕾のように~

 メンバーの特定の1人と決めさせてくれなかった、缶バッチクジ。

 ーーこれが、私の『推し活』の始まり。

 そう思った次の日のこと。

 今日は小田急線沿いで、路上ライブをするらしい。

 その線は職場からも利用しやすい路線だった。

 仕事終わりにK堂駅の改札を出た。

 ちょうど移動のタイミングのようで、荷物をまとめているところだった。

 「せっかく来てくれたのに、移動なんだよね
 今日は時間的に一緒に来れそう?」

 コクりと小さくうなずいた。

 「U 丘なんだけどわかる?」

 初めて聞く名前に、首を横に振った。

 とりあえず検索すれば行き方出てくるかな?
 スマホに手を伸ばし行き方を調べ始めようとアプリを探していた。

 「一緒に行こう」

 不意にニッコリしたかつみさんが声をかけてきた。

 まだアーティストとの距離感のルールなんて1ミリも知らなかった私。

 ただ純粋に、何の疑いもなく、彼らの姿が見えなくならない程度に数メートル後ろをヒョコヒョコとついて歩いていった。