この想いは、誰にも言えない ~深碧の音 つぼみ蕾のように~

 「ところで、あんみさんは誰の推しなの?」

 「推し?」

 推しって何?

 誰か特定のファンになるってことかな?

 「誰か一人に決めないとダメ?」

 「別にハコでもいいけど……」

 ハコ?

 ハテナマークの私に簡単に説明してくれた。

 このグループが歌う声にひかれて、みんな個性的で、それぞれに味があって一人になんて選べないよ?

 どうしよう

 「じゃ、せっかくだし今日推しきめようっか?」

 不思議そうにする私に、かつみさんはいたずららな笑みを浮かべて続けて言った。

 「俺たちの缶バッチがこの中に入ってます
 1個1000円しちゃうんだけど出た人を推すっていうのは?」

 「クジなら恨みっこないね」

 紙袋の中には個人個人の顔写真やロゴだけのもの、全員の写真など、いろんな種類の缶バッチが入っている。

 推し決めクジをする私の回りに、いつのまにか、レンくんと柚希くんも集まっていた。

 私の人生で初推しさんは誰になるのか、入口を閉じた紙袋に手をいれ、ガサゴソ一つだけ掴み取った。

 出てきたのはCDのジャケットと同じ3人の写真。

 「ハコ推しとなりました」

 全員顔を見合せ、笑うしかなかった。