推しラブ

 えーっと、あれから何日か経ったんだけど…。あの日は、大変だった…。あのあと、素衣くんと時基くんにまで聞かれて、頑張って黙ってたんだ。そして、みんな諦めてくれたときに、「あの5人に、なるべく咲花ちゃんに話しかけるようにしてくれない?」ってお願いしたらああなったって、苦笑いで流星くんに言われて、私も苦笑いしか浮かばなかったんだ。そして、あれから少しずつ特訓を進めていって、流星くんとは、途切れ途切れにならないで話せるようになったんだ…!
 今日は、この間の少しだけのピンチを覆すほどの、ピンチかもしれません!私は、ほとんどぼっち状態です!なんと、美空ちゃんと桜ちゃんが休み!しかも、転校生の流星くん以外の5人は、用事があって3時間目ぐらいまでいなくて…。でも、流星くんだけでもいてくれたから良かった…!流星くんがいなかったら、本当にぼっちだったから、本当の救い。周りの女子もひそひそ声で、悲しみの声を上げている。
 そんなふうにしんみりしている私に、流星くんは、
「咲花ちゃん、大丈夫?元気なさそうだけど…。親友2人とも休みだし、賑やかな5人もいないから寂しいよね…。俺は、5人がいないってこと、何回かあったけど、やっぱり毎回寂しくなるんだよね…。5人のメンバーの1人になることもあるけど、残された1人が寂しくなってないかなって考えちゃって集中できなくなって…。そういえば、俺ら、なんでか6人でってことないな…。いやでも、今日は咲花ちゃんがいたから1人じゃないしいいか…。」
 と、心配そうに話しかけてくれた。
「あっ、ごめん!1人で突っ走ってた!」
「全然大丈夫だよ!心配してくれてありがとう!私は1人じゃないって思えたら、元気が出てきた!あと、流星くんが話してくれたおかげで、ほっとしたの。だから、本当に全然大丈夫!そして、ありがとうっ!」
 私がお礼を言うと、
「ありがとう。そう言ってもらえて嬉しいよ。俺、考えていることを話そうとすると、1人で突っ走っちゃうから。」
 と、照れくさそうに返してくれた。
「流星くんは、優しいんだね。」 
「えっ?どこが?」
 私がそう言うと、流星くんは聞き返してくる。
「自分のことばっかりじゃなくて、自分の経験から、人の心配をしてるでしょ?そこが優しいんだよ。」
 そう言って笑うと、
「そ、そうかな?あ、ありがとう…!」
 なぜか、顔を真っ赤にした流星くん。
 あ、あれ?どうしたんだろう…?
「りゅ、流星くん、顔が真っ赤だよ…?大丈夫…?」
「そりゃあ、俺、1人で突っ走ると変な目で見られることが多いのに…。普通に接してくれるどころか、いいところまで言ってくれるって…!」
 ぼそっと何かを言ってたけど小さすぎて聞き取れなかった…。なんて言ってたんだろう?
「ま、また突っ走ったら、止めていいからね!」
 流星くんにそう言われて、
「えっ、あっうん?」
 と、戸惑っているように返事をしてしまった。
 と、止めるって、どうするんだろう?
 流星くん、顔が赤いのまだ治ってないけど…。大丈夫そうかな…?なんか、様子もおかしいみたいだし…。
「あっ、5分前だから、準備しよっか!」
 気にしないでおいたほうがいいのかも…!って思って、そう言った。
「そうだな!」
 あ、流星くん、治ったみたい!良かった!
 でも、さっきのは、本当に何だったんだろう?そう思いながらも、準備をし始めた。

 3時間目になりました!3時間目は国語です!あと、転校生5人がいない最後の授業です!
「起立、礼」
 号令がかかってみんなは静かになり、授業が始まった。
「えー今日は、2人1組でディベートをしてもらいます。」
「…っ!」
 その言葉を聞いた瞬間、私の顔が青ざめていくのがわかった。親友は2人ともいないし、親友以外に友達がいない。流星くんは人気…。このままじゃ私、1人になっちゃう!?私、流星くんとは途切れ途切れじゃなくなってきたけど、まだ他の人とは、話せないよ…!
「5分間でペアを作ってください。それでは始めてください。」
 先生の合図で、みんなが一斉に動き出す。どんどんペアを作っていく。
 ―どうしよう。
 仲のいい人がいない私は、自分の席の前でうろうろしてしまう。ペアを作った人たちやタイマーが視界に入ってきて、更に焦ってしまった。
 あ、あと2分!?急がなきゃ!
 ―そう思ったときだった。
「あれ、まだ1人の子がいる…?男の子っぽい…。私、人見知りだけど、話せるかな…?」
 私は、ゆっくりその子のもとへ行った。