推しラブ

 こうして、それぞれの席に着いた。…んだけど…。1時間目は、なんと、私が苦手な体育!私、体育は、小学校のときに私だけ6段の跳び箱が飛べなくて、なんか、苦手になっちゃったんだよね…。うぅ…、ゆううつすぎる…。
 ガラガラガラ
 教室のドアが開く音がして、体育担当の先生が来た。 
「えー今日は、転校生の紹介があるので、1時間目は体育なしとなりました。」
 え…?
 私は、状況をうまく飲み込めずにいたけど、10秒ぐらいたって、やっと飲み込むことができた。
 やった…!体育がなくなったっ!
 みんな、席を立って体育館に移動する。
 私たちのクラスは、1年1組だから、他のクラスより結構、体育館が近いんだよね。
 そう思っているうちに、体育館に着いた。
 全校生徒が集まり、全校集会が始まる。
「これから全校集会を始めます。今日は、転校生の紹介です。転校生のみなさん、お願いします。」 
『はい!』
 進行の人が進めると、6人の声がした。
 って、え…?6、人…?転校生は、流星くんだけじゃない…って、こと…?
 私がそう考えているうちに、転校生たちは壇上に登ってく。
「みなさんこんにちは。転校してきた、林流星です。これからよろしくお願いします。」
「こんにちは♡今日からこの学校にお世話になる、きりしま光だよ!よろしくね♡」
「みなさん初めまして!転校生の志水川雨やで!これからよろしくな!」
「みなさんこんにちは。川上中学校から転校してきた、流崎勉です。これからよろしくお願いします。」
「こんちは!この学校に転校してきた、喜演素衣です!よっろしく☆」
「この学校に転校してきた、可務呂時基だ。よろしくな。」
 ていねいで、優しそうな(実際に優しい)子が流星くん。かわいい感じの、ショタっぽい声の子が光くん。関西弁で、元気っ子そうなのが川雨くん。眼鏡をかけていて、真面目そうな子が勉くん。ノリがよさそうな、少しほわっとした感じの子が素衣くん。クールっぽい、目つきが鋭くて少し怖そうな子が時基くん。って、見た目で判断しちゃだめだよね…!外側のイメージと、内側の内面は、違うこともあるし!転校生って、6人もいたんだ…。流星くんしか知らなかった…。周りの女の子たちは、全然驚いてない様子。みんな、いつ知ったの……!?それにしても、6人全員、個性が凄すぎる…。あと、こんなに人が見てるのに、全然緊張してないように見える。というか、少しふざけてる感じの子もいる!?そして、みんなイケメンじゃない!?全校生がいるから、流石に黄色い声を上げてる人はいないけど、女の子は、ほとんどみんな目をハートにして、こそこそ、何かを喋っていることはわかる!……それにしても、全員、なんか、声が聞いたことがある気がする…。気のせい、かな……?
 そう考えたけど、進行さんの声が聞こえてはっとする。
「えー、は、はい。個性豊かな自己紹介でした。ありがとうございました。」
 進行の人は男の子だから、少し戸惑ったような声色で進行する。
 まあ…、そうなるよね…。ここにいる全校生徒のほとんどが、個性がすごいって思ったと思う…。
「次は、校長先生のお話です。校長先生、お願いします。」
 ……「これで、全校集会をおわります。」
 こうして、全校集会(1時間目)が終わった。

 下校の時間になって、私は一息ついた。
 ふぅ、やっと下校だ。
「ねぇ、今日も一緒に帰ろ!」
「うん!」 「そうやな!」
 美空ちゃんが誘ってくれて、私と桜ちゃんがうなずく。そこで、桜ちゃんはすかさずツッコミを入れた。
「いや、っていうかそれいっつも言ってるやろ!」
 桜ちゃんっていいところでツッコミ入れるよね。流石だなぁ。
 私が関心していると、後ろから
「俺も一緒にいいかな?俺、一緒に帰る人いないんだよね。」
 という声がした。
 振り返ってみると、そこにいたのは流星くん!
「全然いいよ!」
 私はほぼ直後に答えたあと、はっとして美空ちゃんと桜ちゃんの方を見た。すると、美空ちゃんと桜ちゃんも続けるように言ってくれた。
「えぇ!もちろんいいわよ!もっと仲を深めたいしね!」
「そうそう!女子ばっかやけどそれでもいいなら!」
「ありがとう。実は家、俺もそっち側なんだ!」
 へぇ…!今日は一緒に登校してないから、知らなかった!
「そうなんだ!…ん?あ、あれ、でもなんで知ってるの…?」
「今日の朝だけ、車で送ってもらうことにしたんだ!そうしたら、3人が見えたから。」
 普通に言ってるけど、流星くん、目良すぎない!?そうじゃないと、顔とか、見えなくない!?
「あ、でも、自転車はあるかしら?」
 美空ちゃんがそう聞いた。
「心配しないで。ちゃんと帰り用に持ってきたから。」
 良かった。自転車がなかったら、帰る時1人だけ歩きになっちゃうもん!
「そういえば、転校生って6人もいたんやなぁ。」
 桜ちゃんがそう言う。
「うん。全員、小学校と前の中学校、同じだったんだけど、事情があって、6人で転校してきたんだ。全員仲良かったから、前の中学校とかの友達と会えなくなるのは寂しいけど、あの6人のおかげで、少しはその気持ちも和らいでるんだ。」
 そうだったんだ…。事情、少し気になるけど、その事情を今の話で言わないってことは、言いにくいことだってことだと思うから、深堀しないでおこう!
「よし、じゃあ帰ろっか!」
 流星くんがそう言って、私たちはうなずいた。
「「「うん!」」」
 こうして私たちは、4人で帰った。