推しラブ

 宿題が始まりました!
 わからないところを教えながらするんだろうな…!めちゃくちゃ楽しそう!
 私がそう思った直後、
「誰かー!!国語の1番の3と4と5と6と7と9教えてー!!」
 光くんが、さっそく、しかもたくさん聞いてる!
「光、落ち着き。俺らがしっかり教えてやったるから!」
「ありがとー!」
 ひ、光くん、すっごい目をキラキラさせてる…!
「光、勉強大の苦手だからなー。」
 その横では、流星くんが苦笑いして、でも、優しい眼差しを向けて2人のやり取りを見ている。 
「そこはですね…。」
 勉くんが、優しく教えて、
「待って!俺も国語の1番の3と5わかんない〜!」
 素衣くんも、光くんと同じで、助けを求めている。
「騒ぐな。俺も教えてやるから。」
 そして、時基くんは、少し強い口調で注意してるけど、楽しそうな顔をしている。
 そんな6人を、私たち3人は見守っていた。
「この6人、兄弟みたいだね!」
 私が2人に言うと、
「そうね。なんだかほっこりするわ。」
「兄弟みたいだってことも、ほっこりするってことも、どっちもわかるわー!見てるだけで、なんか言い方おかしいけど、楽しいみたいな!」
 そう言ってうなずいてくれた。
「ごめん!俺ら、うるさかったよね。いっつもこうなんだよな〜。」
 流星くんが申し訳なさそうに言った。
「全然大丈夫!って、私たち、宿題やってなかった!」
「確かに!完全に忘れてたわ。」
「あはは!6人がおもろくて忘れるとか、うちらもおもろすぎやろ!」
 私たちがそう言うと、
「え!?それって、俺らのせいだよね!?本当にごめん!」
 流星くんが謝った。
 わっ、謝らせる気はなかったんだけどな…。謝らせちゃった。あとで反省しなきゃ。
「いやいや、それは私たちの責任だから!」
「そうそう!うるさくても別に気になってないしね!」
「むしろ楽しいからええよ!」
「あはは、ありがとう。でも、本当にうるさかったら言ってね。」
「うん。わかった。…さっき、謝らせちゃってごめんね。謝らせるつもりはなかったんだけど…。」
 私は、謝った。
「ううん。俺が謝ったのは、本当にそう思ったから。うるさいのは事実だし。」
 流星くんは、どこまでも優しい。
「ありがとう…!」
 私がお礼を言うと、
「次は国語の3番の1と3と5と6教えてー!」
 という声が聞こえてきた。
 この声を聞いて、美空ちゃんが何かをひらめいたような表情になった。
「あ!そうだ!」
 ん?どうしたんだろう?
「咲花さ、勉強得意だったわよね?わからないところ、教えてあげられるんじゃない?」
 美空ちゃんがそう言った直後、みんなの視線が一斉に私に集まった。
「ひっ!?」
 つい、悲鳴を上げてしまった…。
 うぅ、やっぱり視線が集まるのは嫌だな…。もともと嫌だけど、1学期たくさん視線が集まったから、視線恐怖症になっちゃったのかも…。前は、悲鳴を上げるほどじゃなかったんだけどな…。あはは…。
 そこまで考えて、美空ちゃんに何も言っていないことに気がついた。
 何か言わないと…!まず、そこまで勉強が得意なわけじゃないし…!
「えぇ、そこまで得意なわけじゃ…。」
 私はそう言ったけど、美空ちゃんは否定した。
「いいえ。私は知ってるわよ?」
「うちも知ってる!」
 そこに、桜ちゃんも加わる。
「「咲花(ちゃん)が1学期のテストで、学年1位だったことを!」」
「えぇ!?本当!?僕とは大違いだなぁ。」
 関心したように、光くんが言う。
「が、学年1位といえば、勉くんもだよね…!」
 私はどう答えていいのかわからなくて、話をそらすようにそう言うと、
「そうだね!うちのクラス、成績だんとつトップじゃね?学年1位が2人もいるって。」
 素衣くんがそう返してくれた。
 でも、これは、話をそらしきれてないかもしれないっ…!
「じゃあ、咲花ちゃんと勉に、わからないところを教えてもらいたいんだけどいいかな?俺たちも手伝うから!」
 流星くんに真っ直ぐな目で言われた。
 こ、これは断れないかも。私を信じて、言ってくれてるんだもんね!
「わかった!」 「わかりました。」
 私と勉くんが同時に答えた。
 すると、美空ちゃん、桜ちゃんも力強く言ってくれた。
「私も手伝うわ。9人もいるから、わからないところ、たくさんありそうだし。」
「うちも手伝う!美空ちゃんの言うとおりやろうし、みんなで力合わせてこ!」
 やっぱり、2人がいると心強い!でも、頼ってばっかりでもいられないから、私も頑張らなきゃ!
「僕が1番わからないところ多いと思うけど、僕も頑張るね!」
 そう言う光くんに、みんな笑顔を向けた。
「よし、みんな。まず、全体を通して見て、わからないところはどこ?」
 流星くんがみんなに聞く。
 流星くん、凄い考えてる。まず、それぞれがわからないところを知っておいて、その人たちにまとめて教えるってすれば、なるべく早く終わりそう。 
 えっと、私は…。わっ、結構難しそうな問題ばっかり+多い…!中学生は大変だっ。…あれ?でも…
「わ、私、わからないところ、ないかもしれないっ…!」
「あ、僕もです。」
 私が言った直後に、勉くんも続けて言う。
 みんなの前だからか、声が裏返っちゃう…。
『え!?マジで(本当に)!?』
 他のみんなが、声を揃えて言った。
「えっ、う、うん。多分。」 「はい。」
 意外に驚かれて、私はびっくりしてしまった。
 あ、あんなに驚くことかな?勉くんは、戸惑いを見せなくて凄い…。まず、戸惑っているのかもわからないけど…。
「凄いね…!さっきの話を聞いてて、めちゃくちゃ頭いいのはわかったけど、全部わかるって、凄すぎるよ…!2人はじゃあ、大変だとは思うけど、自分の宿題をしながら教えるスタイルでお願いできる?」
 流星くんに聞かれて、私たちはうなずく。
「ありがとう。じゃあ、お願いね!他の人は?どこが、何個わかんない?俺は、算数2個わかんないや。」
「俺は、国語5個わからへん!」
「俺も、流星と同じで算数2個だ。」
「俺、国語と算数と理科2個ずつで、社会4個で合計10個!」
「私は、社会が1個よ。」
「うちは、国語と理科が2個ずつで、合計4個やで!」
 流星くん、川雨くん、時基くん、素衣くん、美空ちゃん、桜ちゃんの順に、わからない教科と個数を言っていく。
 だけど、光くんは黙っている。
 そんな光くんに、流星くんは優しく言った。
「光、どれぐらいわからない?…あっ、言いたくなかったら、言わなくていいよ。」
 光くんは、首を横に振る。
「…大丈夫。ちょっと、僕って頭悪いなぁって思っただけだから。みんなは10個以下なのに、僕だけ多いって…考えちゃったんだ。僕は国語10個、社会10個、理科が2個で算数3個、合計25個だよ。」
 光くんは、少し悲しそうな顔をしていて、私は胸が痛んだ。
「光、言ってくれてありがとう。別に、頭が悪くても、他にいいところを見つけて、胸をはればいいんだよ。光はいいところ、いっぱいあるから。」
 流星くんが、そう慰める。
「ってかさ〜、光、10個以下って言ってたけど、俺ギリギリだよ?だって、俺10個だよ?マジのギリギリじゃん!」
 笑わせようとしてくれたのか、素衣くんはそう言った。
 あっ、光くん、笑ってくれた!
「光くんには、笑顔が似合うよ。だから、なにか困ったことがあったら、私たちに言ってね。」
 私もそう言った。
「そうそう!俺らは、光の味方だからね!」
「みんな…、ありがとうっ…!」
 光くんは、満面の笑みを浮かべた。
「それじゃあ、再開しよっか!」
 みんなうなずき、宿題を再開する。
 よし!光くん中心に、教えていくぞー!
「ねぇ、咲花ちゃん。ここって、どうしたらいいの?」
 ひ、光くんがさっそく来たっ…!
「待って待って!そこ俺も教えて!」
 わっ、素衣くんも来た…!
「えぇぇ、えっと、そこはこうして…。」
 私は、2人同時に聞かれたことに戸惑いながらも、なるべく丁寧に説明する。
「すごい!めっちゃわかりやすい!すぐ解けた!」
「凄いね!さすが天才!」
 うっ…、嬉しそうにしてくれるのは私も嬉しいけど、天才って言われるのは、恥ずかしいっ…!まず、私天才じゃないし、天才って言葉は、私には似合わないよっ…!
「て、天才って言わないでっ…!私は天才じゃないからっ…!」
「えー?天才だと思うけどなー?」
 こう言っても、まだ私のことを「天才」って呼ぶのを諦めてない素衣くんに、苦笑いが溢れてしまった。
「まあ、やめるけど。」
 よ、良かった…!やめてくれた…!
 私が安堵の息を吐いたとき、流星くんと川雨くんが来た。
「どう?順調?」
「2人に教えるの、大変やない?」
 2人とも、す、凄い気遣ってくれてる…!
「うん!全然大変じゃないよ!むしろ、役に立てて嬉しいから!あと、教えながらやってたから、2ページ終わったよ!」
「へぇ、凄いね!」
 流星くんが、そう言ってくれた。
「ねぇねぇ、次ここ教えてくれない?」
 光くんに聞かれ、私は、もっと光くんの役に立つぞー!と意気込む。すると、
「俺らも教えるよ。」
 と、流星くんが言って、川雨くんも頷いてくれた。
 わぁ…!2人が手伝ってくれたら、千人力だっ…!
「えーっと、これはな…。」
 川雨くんが、さっきの光くんの質問に、答えてる。
「…」
 あれっ…?急に難しい顔になった…?
「ごめん!俺もわからへんかった!3人とも、教えてくれへん?」
 そう言われて、流星くんと光くん、素衣くんはズコーッとずっこける。
 私は、その4人の様子を見ながら、苦笑いを浮かべた。
 そして、川雨くんの本気っていう顔を見て、私たちは顔を見合わせて笑った。