こいがえり ――変わってしまった君と、変わらない私。

それからも。




 雫と蓮は、いつも一緒だった。




 学校でも。




 帰り道でも。




 休みの日でも。




「雫ー!」




「蓮くん!」




 名前を呼べば。




 どこかから必ず蓮が現れる。




「今日、宿題やった?」




「……」




「やってへんな」




「……忘れてた」




「昨日言うたやろ」




「蓮くんが教えてくれるから大丈夫」




「その考え方やめろ」




「なんで?」




「俺がおらんかったらどうすんねん」




「……」




 雫は少し考える。




「……困る」




「ほらな」




「でも、蓮くんいるじゃん」




「……」




「だから大丈夫」




 雫が笑う。




 蓮は何も言わず。




 少しだけ困ったように笑った。




 けれど。




 ずっと一緒にいられるわけではなかった。




 雫が体調を崩せば。




 学校を休まなければならない日もある。




 病院へ行くこともある。




 何日も外に出られないこともある。




「……蓮くん」




 ある日。




 雫は電話越しに小さく言った。




『ん?』




「……ごめんね」




『何が?』




「今日も遊べなくなっちゃった」




『ああ、また熱?』




「……うん」




『何度?』




「……言わない」




『なんで』




「心配するから」




『そらするやろ』




「……」




『何度なん?』




「……三十八度くらい」




『高いやん!』




「でも大丈夫」




『大丈夫ちゃうやろ!』




 雫は少しだけ笑った。




「蓮くん、すぐ怒る」




『怒ってへん』




「怒ってる」




『心配してんねん』




「……」




 雫は布団の中で目を閉じた。




「……ありがとう」




『明日も熱あったらちゃんと休むんやで』




「うん」




『約束』




「約束」




『……あと』




「ん?」





『ちゃんと薬飲むんやで』




「……」




『雫?』




「……」




『飲んでへんの?』




「……苦いから」




『雫!!』




「ごめんなさい!」




 電話の向こうで、蓮が大きなため息をつく。




『……ほんま、俺がおらんとあかんやん』




「……うん」




『そこは否定せえや』




「だって本当だもん」




『……』




「蓮くんがいてくれると、安心する」




 電話の向こうが、少し静かになった。




『……ほな』




「ん?」




『ちゃんと元気になったら、遊ぼな』




「……うん」




 雫は嬉しそうに笑った。




『約束やで』




「約束!」