愛してるの期限が切れる前に

 ネットで交換という手もあるが、見ず知らずの人とやりとりする勇気のない百花は、当たった物を大事にするだけだ。

「それは、どうだろう? 開けてみてよ」

 玲桜は存在自体が派手で、なにもしていなくても人目を引く。本人もその自覚はあるはずなのだが、慣れてしまったのかまったく頓着していなかった。
(どうしよう)
 困ったな、という気持ちと、玲桜に会えて嬉しい気持ちがひしめき合っている。玲桜は約束を忘れてしまっているのだろうか。
(ここは水島の家じゃないのよ?)
 玲桜と親しくしているところは、決して人に見られてはいけない。
 それが、玲桜と交わした約束だった。

「もも?」
「ありが、とう。そうだね、開けてみよっかな」

 お礼を言って、景品を受け取った百花は銀色の袋を開けた。

「え――嘘」

 入っていたのは、紛れもなく百花の推しだ。
 ミニキャラになって愛らしさが増したフォルムでこちらにウインクしている姿に、百花は信じられないと食い入るように見入ってしまった。

「それ、ももの推しじゃん。よかったね」

 玲桜はアイスコーヒーを飲みながら、軽い口調で言った。

「うん、うんっ。ありがとう! すごい、これが物欲センサー?」
「ちょっとなに言ってるかわかんないけど、喜んでもらえて光栄だよ」

 今だけは、王子様みたいなキザな台詞もさらりと言える玲桜の手を取り、ぶんぶん振って感謝を伝えたくなった。

「嬉しい、さっそく着けちゃう」

 まさか一日で揃えられるなんて夢みたいだ。
 万感の思いで二つのキーホルダーを眺めたり撫でたりしていると、「相変わらずだね」と玲桜が苦笑した。