『ももの”ぼっち”て、楽しそうだな』
ふと脳裏によぎった言葉に、水島百花はコーヒーショップの四人掛けテーブルに広げていた課題から顔を上げて外を見た。
ガラス窓一枚隔てた向こう側に見える交差点では、丁度青信号に変わった横断歩道の双方から人が押し寄せてくる。その速度が心持ち軽やかに感じたのは、今が梅雨の貴重な晴れ間だからだろうか。一定数の人数で同じ方向へ歩く光景は、喧噪という海を泳ぐイワシの群を見ているみたいだ。
百花は、冷房の効いた店内で、ストロベリー味のフラペチーノを飲みながらぼんやりと眺めていた。
この時間帯、店にはスーツ姿の社会人に、午後のティータイムを楽しむご婦人たち、あとは属性不明の一人客がまばらに座っていた。
どこか既知感のある様子に、「あぁ、これは夢だ」と気づく。
まだ百花が高校生だった頃の、懐かしい過去。
百花は全日制の高校には行かず、通信高校へ進学した。この日は、学期内で定められた登校日の一日で、百花は長袖の白いTシャツとグレーのハーフパンツに、黒いスニーカーを履いていた。セミロングの黒髪の隙間から耳につけっぱなしの白いワイヤレスイヤホンの一部が垣間見えている。あれは、誕生日の日に玲桜がくれたものだ。
(楽しいよ)
あのときも、百花はそう答えた記憶がある。
ただ同じ年に生まれたというだけで、一定数集めら教室という箱庭に詰め込まれていた窮屈さを思えば、高校は随分と息がしやすくなった。
ふと脳裏によぎった言葉に、水島百花はコーヒーショップの四人掛けテーブルに広げていた課題から顔を上げて外を見た。
ガラス窓一枚隔てた向こう側に見える交差点では、丁度青信号に変わった横断歩道の双方から人が押し寄せてくる。その速度が心持ち軽やかに感じたのは、今が梅雨の貴重な晴れ間だからだろうか。一定数の人数で同じ方向へ歩く光景は、喧噪という海を泳ぐイワシの群を見ているみたいだ。
百花は、冷房の効いた店内で、ストロベリー味のフラペチーノを飲みながらぼんやりと眺めていた。
この時間帯、店にはスーツ姿の社会人に、午後のティータイムを楽しむご婦人たち、あとは属性不明の一人客がまばらに座っていた。
どこか既知感のある様子に、「あぁ、これは夢だ」と気づく。
まだ百花が高校生だった頃の、懐かしい過去。
百花は全日制の高校には行かず、通信高校へ進学した。この日は、学期内で定められた登校日の一日で、百花は長袖の白いTシャツとグレーのハーフパンツに、黒いスニーカーを履いていた。セミロングの黒髪の隙間から耳につけっぱなしの白いワイヤレスイヤホンの一部が垣間見えている。あれは、誕生日の日に玲桜がくれたものだ。
(楽しいよ)
あのときも、百花はそう答えた記憶がある。
ただ同じ年に生まれたというだけで、一定数集めら教室という箱庭に詰め込まれていた窮屈さを思えば、高校は随分と息がしやすくなった。
