「……藤仁さん、ごめんなさい。私、……貴方とは結婚出来ない。他に好きな人がいる……。」
傷付けてまで、結婚をやめる必要はあるのか。
おじいちゃんの顔に泥を塗る事になる。
けど、自分の心にもう嘘はつけない。
葵くんが私に会いに来たのは、結婚を申し込む為だった。
誰にも祝福されなくて良い。
私には、葵くんがいてくれるだけで。
「終わった?」
シャワーを浴びた葵くんが、バスローブを羽織り出て来た。
「うん……。」
……バスローブ、似合うな。
私はホテルのベッドに座り、藤仁さんに電話をした。
藤仁さんは仕事中で留守電になった。
留守電にメッセージを入れた。
一方的な別れになるが、けじめだ。
「もう、触って良い?」
「……。」
葵くんはシャワーを浴びただけで、情事の後ではない。
空港からそのまま私のところに、来たみたい。
「……どうして私が、あの大学に通ってるって知ってたの?」
質問の問いには答えず、質問で返した。
「大和から。」
「連絡、取ってるの……?」
「たまにね。」
……初耳、なのだが。
都鳥くんが教えたのか。



