その日の午後、会社での仕事を終えた小海は、澪の家へ向かった。 もちろん、無理に会おうとは思っていない。 ただ、必要なものを届けるだけ。 玄関先で家族に事情を説明し、飲み物や食べられそうなものを渡して帰ろうとした。 そのとき。 「……小海さん?」 弱々しい声が聞こえた。 振り返る。 そこには、いつもよりずっと元気のない澪が立っていた。 「寝てなよ」 「でも……」 「顔赤い」 「熱あるから……」 「だから寝て」 「……はい」 澪は素直に頷いた。