君の歌声に恋をした。天才作曲家と無自覚天然少女。


その日の午後、会社での仕事を終えた小海は、澪の家へ向かった。


もちろん、無理に会おうとは思っていない。


ただ、必要なものを届けるだけ。


玄関先で家族に事情を説明し、飲み物や食べられそうなものを渡して帰ろうとした。


そのとき。





「……小海さん?」



弱々しい声が聞こえた。


振り返る。


そこには、いつもよりずっと元気のない澪が立っていた。


「寝てなよ」


「でも……」




「顔赤い」


「熱あるから……」


「だから寝て」


「……はい」


澪は素直に頷いた。