澪は一人で電車に乗りながら、自分の胸元を押さえていた。 さっき、肩が近かった。 ただ、それだけ。 それだけなのに。 どうしてこんなに胸がどきどきするのだろう。 「……変なの」 澪は窓に映る自分の顔を見て、小さく首を傾げた。 このときの澪はまだ。 その感情に名前をつけることができなかった。