最初の打ち合わせでは、必要最低限のことしか話さなかった。 小海は曲の方向性を説明し、澪はそれを聞いて質問する。 「ここは、もう少し強く歌った方がいいですか?」 「強くするというより、感情を少し前に出して」 「感情……」 「うん。技術より、そっちを意識して」 「分かりました」 澪は真剣な顔で頷いた。 小海はその様子を見ながら、少し意外に思っていた。 天然で、どこかふわふわしている。 そういう印象だった。